あすか
価格:¥ 893 (Book)
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おすすめ度 ★★★★☆
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★★★★☆ 2007-04-02 拙さを補う期待感
カップリングとしては、王道とも言える海賊の船長×王子。まさに海賊に攫われる王子の図式です。
常に顔の上半分を黒い仮面で覆った船長と、不思議な色の瞳で周囲の者を魅了する美貌の王子。
多くの人は、冒頭の数ページでオチが読めるのではないか、と思います。
文章力、描写力などにやや拙さを感じますが、しかし、ラストへ辿り着くまでの展開への期待感がある構成で、一気に読む事が出来ました。
海賊モノの割には、海上での具体的な生活の様子や、海賊らしい戦闘や略奪などのシーンはほとんどなく、
カップリングの人間の心理描写がメインで、いかにも「海賊モノ」というものを期待している方には満足出来ないかも知れませんが、
攻めの海賊の、格好いいくせに、ともするとヘタレとも言えるような奥手で一途な愛情表現が良かったです。
受けの王子が攻めの海賊に惹かれていく様子は、少しだけ性急かな、という気がしましたが、無茶苦茶という程でもなかったですし、
海という自然の恐ろしさを知り、翻弄される自分の境遇に「死にたい」と嘆く王子が船長に辛辣なまでに叱咤され、
次第に「船」と「国」という違いはあるものの、上に立つ者の心構えに気付かされてゆく下りは良かったですね。
そして、重要なのが、船長の腹心と、王子のお付き役、という二人の脇役の存在だったと思います。
この二人が無く、ただカップリングの二人のBL中心の描写だけで話が進んでいったとすれば、星は2つくらいだったかも知れません。
とても重要な役割を持った脇役たちです。
ただ残念なのは、少し中途半端な登場で、もっと前面にこの二人の(特に船長の腹心の)性格や行動を引き立てていれば、
もっと強く読者を引き込めたのではないかな、という点です。
オチはほぼ当初の読み通りだったので、星3つにしようかな、と思ったのですが、
先が気になるストーリー展開にドキドキさせられたので、星4つにさせて頂きました。
海賊的な海洋冒険譚を期待されている方には少々物足りなさを感じるかも知れませんが、
「仮面を被った秘密めいた海賊と、不幸な境遇の上に囚われてしまった王子」という設定のBLに萌える、
という方には美味しいストーリーだと思います。
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