★★★★★ 2006-12-21 真の背徳とは
本作は以前、新書として発行されていた物の文庫版です。
主人公は「タリオ」という組織の幹部である桜庭と、同じく幹部でNo.2の鷹司がメインになります。
時代設定は、現代より少し先の未来の日本。
「タリオ」とは、罪を犯した人物を、遺族からの依頼で「目には目を、歯には歯を」のハムラビ法典に則った方法で
暗殺を請け負う組織です(レイプの上で絞殺した場合には、それとまったく同じ方法で……という具合に)。
幹部は「使徒」と呼ばれる暗殺者を暗殺者養成所から買い取り、「物件(暗殺対象者)」を「処理」します。
七年前、組織の代表のもとで初めて出会った時から桜庭に執着していた鷹司は、
ある物件の処理に失敗した桜庭の手助けをする代わりに、口封じの手段として桜庭の身体を要求し……。
と、あらすじだけを書けば、よくある「愛人契約」的なシチュエーションで、ありがち、と
思ってしまうかもしれませんが、桜庭の凄惨な過去や、それを吐かせるために拷問に近い責め苦を与えてでも
彼を我が物にしようとする鷹司には頭が下がるくらいです。
おまけに鷹司の「使徒」であるドールを交えての3Pや、桜庭の「使徒」である龍星とルキアの情交。
全体を通してエロシーンが散りばめられているのですが、シーン展開や変化して行く桜庭の心理状態が
上手く盛り込まれているので、飽きを感じさせない流れになっていると思います。
見所は鷹司の異常なまでの桜庭に対する執着でしょうか。
普段は紳士然としていて、男前でお金持ちで文句のつけどころもないようなイイ男ですが、
捩じれまくった愛情をぶつけられる桜庭は大変な目に遭っています。
3Pや痛めつけるようなエロシーン、殺害シーンが大丈夫な方であれば、問題なく読めると思います。
ちなみに、最後には丸く収まっていますので、アンハッピーエンドではありません。
続編に「オム・ファタール 運命の男」が、ありますので、合わせて読まれることをオススメします。
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